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Harjo, S.
日本結晶学会誌, 65(3), p.178 - 182, 2023/08
Observations of deformation behavior of high entropy alloys using neutron diffraction measurements during deformation at various temperatures are reviewed. Neutrons are used to investigate stresses and crystallographic microstructures inside engineering materials, taking advantage of their large penetrating power and the ability to see the arrangement of atoms by diffraction methods. The important structural details of high entropy alloys such as internal stresses, phase conditions, dislocations, texture etc. are discussed in relation to the deformation conditions. Some highlights are introduced: (a) Cooperative deformation in CrMnFeCoNi alloy at ultralow temperatures, (b) Stacking fault energies in CrFeCoNi and CrCoNi alloys, and (c) Load redistribution in eutectic high entropy alloy AlCoCrFeNi during high temperature deformation.
大原 高志
日本結晶学会誌, 64(2), p.132 - 139, 2022/05
中性子を用いる単結晶中性子回折法は原子核の位置を直接観察できることに加えて水素原子に対する感度が高いことから、結晶中の水素原子位置を高精度で確実に観察できる強力な手法となる。日本国内では1990年代末からJRR-3研究用原子炉を中心に単結晶中性子回折計の開発が進み、金属錯体など格子体積の比較的大きい分子性結晶における水素原子の観察が現実的になるとともに、より大強度の中性子源であるJ-PARCの建設が始まった。そのなかで筆者は単結晶中性子回折計の開発と並行して、単結晶中性子構造解析による分子性結晶中の水素原子の確実な観察を基にした研究を展開してきた。本稿では、これらの水素原子が鍵となる研究について概説する。
三浦 大輔*; 熊田 高之; 岩田 高広*
日本結晶学会誌, 63(4), p.287 - 293, 2021/12
スピンコントラスト変調粉末結晶構造解析法を開発した。本手法では、粉末結晶の偏極中性子散乱パターンの水素核偏極にともなく強度変化から結晶中の水素位置を決定することができる。我々はグルタミン酸粉末結晶を用いて本手法の原理実証実験に成功した。
金子 耕士
日本結晶学会誌, 61(4), p.237 - 242, 2019/12
Neutron and X-ray are complementary probes for structural study. Whereas X-ray is superior in terms of brilliance and resolution in general, neutron diffraction has better spatial resolution reflecting the difference in scattering medium; electron and nuclei for X-ray and neutron, respectively. This difference results in the fact that neutron diffraction has higher sensitivity to probe thermal vibration and off-center potential in a crystal. Here, as an example, we will show single crystal neutron diffraction study on "rattling" in rare-earth based filled skutterudite compounds.
服部 高典; 佐野 亜沙美; 町田 真一*; 阿部 淳*; 舟越 賢一*; 岡崎 伸生*
日本結晶学会誌, 59(6), p.301 - 308, 2017/12
PLANETは、高圧実験専用の中性子ビームラインである。J-PARCの強力な中性子源と飛行時間型粉末中性子回折用に設計された高圧デバイスを組み合わせることにより、0-20GPaおよび77-2000Kの広い温度圧力範囲にわたって、結晶、液体および非晶質固体の精密な構造解析が可能になる。このビームラインは、地球物理学, 惑星科学, 物理学, 化学における様々な研究に有効である。本稿では、ビームラインを概説し、PLANETで得られた最新の結果を紹介する。
海野 昌喜*; 杉島 正一*; 和田 啓*; 萩原 義徳*; 日下 勝弘*; 玉田 太郎; 福山 恵一*
日本結晶学会誌, 57(5), p.297 - 303, 2015/10
シアノバクテリアや植物のような光合成生物は、細胞内にビリン色素と呼ばれる光を集める色素をもっている。そのビリン色素を分子内にもつタンパク質のいくつかは、シアノバクテリアなどでは光合成、高等植物では開花や紅葉・落葉などをコントロールするシグナル伝達の役割を担う。フィコシアノビリン(PCB)はその両方に使われる重要なビリン色素の1つであり、PCBはヘム分解産物であるビリベルジン(BV)から、フェレドキシンにより供給される電子を使って酵素PcyAにより合成される。今回、我々はシアノバクテリア由来PcyAの立体構造をBVとの複合体状態で中性子結晶解析により決定した。BVは2つの状態(通常の状態と1つ水素が付いたBVHの状態)で存在していたが、近接したPcyA中のAsp105もBVの状態に対応して2つの状態(プロトン化および解離状態)で存在していた。さらに、BV近傍のHIs88とHis74間にヒドロニウムイオンが存在することを観察できた。また、中性子解析の結果はX線解析における照射損傷の影響も明らかにした。
石井 賢司; 藤田 全基*
日本結晶学会誌, 57(1), p.20 - 26, 2015/02
We combine soft X-ray, hard X-ray, and neutron inelastic scattering measurements to study both spin and charge excitations in electron-doped copper oxide superconductors. Thanks to the recent development of beam sources and related experimental techniques, accessible energy range of the these inelastic scattering measurements overlaps each other and it enables us to investigate spin and charge dynamics in the important but unexplored energy-momentum space of the cuprate superconductors. Our study demonstrates that complementary use of X-ray and neutron has become effective in inelastic scattering for studying electron dynamics of materials.
町田 晃彦
日本結晶学会誌, 57(1), p.34 - 40, 2015/02
この解説はX線と中性子を利用した水素-金属系の最近の構造研究について述べたものである。我々は結晶内の水素と周りの金属原子との相互作用に着目した研究を行っている。水素-金属相互作用は応用として高性能水素貯蔵合金の開発などに重要な知見を与える。X線回折と中性子回折は金属内に侵入した水素による結晶構造変化を調べるための相補的な手法である。典型例としてランタン水素化物における圧力誘起相分離の研究について主に紹介する。
大原 高志
日本結晶学会誌, 56(5), p.301 - 306, 2014/10
近年、茨城県東海村に建設されたJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)は陽子加速器による核破砕反応を利用した大強度パルス中性子実験施設であり、2008年からiBIX、2012年からSENJUという2台の単結晶回折計がそれぞれ稼働を開始した。これらの回折計ではパルス中性子の特徴を利用したtime-of-flight(TOF) Laue法によって広い逆空間を一度にスキャンできるため、J-PARCの大強度中性子と相まって従来に比べて小さい0.5mm角程度の単結晶試料を用いた測定が現実的なビームタイムで可能となった。加えて、SENJUでは極低温(4K)や磁場(7T)環境下での測定が可能であり、高温や高圧、電場といった様々な試料環境の整備も進めている。これにより、これまで結晶サイズの問題から測定を諦めざるを得なかった様々な機能性有機・有機金属結晶の単結晶中性子構造解析を、その機能が発現する環境下で実現できると期待される。
仲庭 哲津子*; 黒木 良太; 木下 誉富*
日本結晶学会誌, 55(3), p.197 - 202, 2013/06
ヒトMAPキナーゼJNK1の構造、機能、安定性におけるシステイン残基の役割を知るために、野生型JNK1および7つのシステイン欠損JNK1タンパク質を作製し、評価した。溶媒に露出したシステイン残基の変異は生物学的機能には影響を与えず、新たに形成された水素結合によって熱安定性を向上させた。分子の疎水性ポケットを構成するシステインは生物学的機能に影響を及ぼさなかったが、わずかな不安定化が観測された。ゆるい構造の疎水性環境に存在するシステインは適度に熱安定性の維持に貢献するとともに、酵素活性にはごくわずかな影響しか与えなかった。他のシステインは密に充填された疎水性コアに影響を与え、これらの残基の突然変異は熱安定性および酵素活性に悪影響を与えていることがわかった。
芝内 孝禎*; 笠原 成*; 松田 祐司*; 福田 竜生; 杉本 邦久*
日本結晶学会誌, 55(2), p.128 - 134, 2013/04
強相関電子系と呼ばれる物質群では、今までにない複雑な電子相が現れる。その最も驚くべき相の一つが、系の回転対称性を破る「電子ネマティック」相である。我々は新しい高温超伝導体系である鉄系超伝導体の常伝導相において見られる電子ネマティック相が、広いドープ領域に渡って存在していることを示した。磁気トルクによる高感度の面内異方性測定、放射光X線を用いた結晶構造の変化の観測、現象論的な理解を組み合わせたこの研究内容を紹介する。
玉田 太郎; 安達 基泰; 栗原 和男; 黒木 良太
日本結晶学会誌, 55(1), p.47 - 51, 2013/02
生体内化学反応の原子レベルでの理解において、化学反応の直接の担い手である水素原子や水分子の挙動を知る場合には、中性子をプローブとする立体構造解析は大きな力を発揮する。本稿では、中性子を用いたタンパク質の結晶構造解析の手順と酵素反応機構の解明を目指した中性子結晶構造解析例を示すとともに、著者らがJ-PARC/MLFに建設提案を行った新しい中性子回折装置(生体高分子専用高分解能中性子回折計)についても紹介する。
米田 安宏
日本結晶学会誌, 54(3), p.155 - 158, 2012/06
PDFは任意の原子から距離rだけ離れた位置に別の原子を見いだす確立を意味する関数である。強誘電体においてはドメイン構造が存在する。ドメイン境界には格子歪みが集積するため結晶面の"ずれ"が生じ、コヒーレント性が失われる。このようなドメイン構造を持つ強誘電体結晶の構造は、従来の結晶構造解析のように周期性を仮定した手法ではなく、アモルファス等の非晶質と同様のPDF解析が有効である。ドメインの影響で平均構造と局所構造との間にどのような"ずれ"が生じるのかをBaTiOを用いて示し、さらに最近の研究から、この"ずれ"が非常に大きな系であるBiMgTiOへのPDF解析の適用例を示した。
大和田 謙二
日本結晶学会誌, 54(3), p.147 - 154, 2012/06
Bサイトのランダムネスは鉛複合ペロブスカイト型酸化物Pb(B'B'')Oにおけるリラクサー発現に本質的な役割を果たしている。しかし、Bサイトランダムネスのミクロな効果は理解されていない。われわれはPb(B'B'')O系のうち、Bサイトの制御できるPb(InNb)O(PIN)に注目した。PINはそのBサイトの秩序度により反強誘電体からリラクサーにまでその状態を変えることができる。本稿においては、PINにおけるBサイトランダムネス効果に対するわれわれの理解を紹介するとともに、Pb(B'B'')Oにおけるランダムネスとフラストレーションの効果について触れる。
深澤 裕
日本結晶学会誌, 52(4), p.219 - 225, 2010/08
粉末中性子回折の実験から、強誘電体の氷が発生する温度と圧力,成長に要する時間等を研究した。その結果に基づいて、冥王星などの氷の天体に、表面から内部にかけて強誘電体の氷が存在するとの仮説を提案した。この仮説の実証に必要な観測方法を考案している。強誘電性の氷の構造と性質は、物質の進化や惑星の形成と密接にかかわっている可能性があり、中性子ビームを用いてその全容の解明に取り組んでいる。現在、探査機が冥王星に近づいているが、大量の強誘電性氷が発見されることを期待している。
玉田 太郎; 木下 誉富*; 多田 俊治*; 黒木 良太
日本結晶学会誌, 52(2), p.133 - 138, 2010/04
セリンプロテアーゼの触媒機構を理解することを目的として、ブタ膵臓エラスターゼの高分解能中性子(1.65 resolution)及びX線(0.94 resolution)構造解析を正四面体型中間体を模倣する阻害剤と複合体の状態で実施した。中性子とX線の両解析結果から、His57とAsp102の間に形成された水素結合は強い水素結合ではあるものの、低障壁水素結合の特徴(水素原子がドナーとアクセプターの中間付近に存在する)は満たしていなかった。また、中性子解析結果から、いわゆるオキシアニオンホールの形成とオキシアニオンホール中に阻害剤由来の酸素原子が酸素陰イオンの状態で存在していることが明瞭に示された。これより、セリンプロテアーゼの触媒機構において正四面体型中間体構造の安定化に対するオキシアニオンホールの役割が明らかになった。
町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏
日本結晶学会誌, 51(6), p.320 - 326, 2009/12
希土類金属水素化物の静水圧下における圧力誘起構造相転移の研究を行っている。代表的なイットリウム3水素化物は室温常圧下で六方晶構造をとり、水素原子は四面体サイトと八面体サイトを占める。また高圧力下で格子が圧縮されることにより水素-金属の相互作用に加えて水素-水素の相互作用も強くなり、相転移が誘起されると考えられる。そこでダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧力下の放射光X線回折実験を行い、圧力による構造変化を詳細に調べた。その結果、1222GPaの広い圧力領域に渡る中間状態を経て六方晶構造から立方晶構造へ結晶構造が変化すること、また中間状態の構造は六方晶型の積層と立方晶型の積層の交互配列の長周期積層構造で表せることを明らかにした。観測された長周期構造は希土類金属水素化物においては新しい構造である。本稿ではこの長周期積層構造についてその構造モデルと構造相転移の過程について紹介する。
吉井 賢資; 池田 直*; 松尾 祥史*; 森 茂生*
日本結晶学会誌, 51(2), p.162 - 168, 2009/04
希土類-鉄酸化物RFeO(R=Y, Ho-Lu)は、菱面体結晶構造を持ち、希土類・鉄・酸素の各々が三角格子を組み、それが互い違いに積層するという2次元性の強い系である。最近われわれは、この系が全く新しい機構で強誘電体となることを見いだした。すなわち、RFeOに同数含まれるFe及びFeが三角格子上で秩序配列化することで、強誘電性を発現する。本稿では、この強誘電性につき、放射光測定や誘電室測定などで見いだした結果について解説する。
吉朝 朗*; 有馬 寛; 福井 宏之*; 奥部 真樹*; 片山 芳則; 大高 理*
日本結晶学会誌, 51(1), p.66 - 69, 2009/02
われわれは高温高圧放射光実験によってAgIの精密な温度圧力相図を決定した。マルチアンビル高圧装置とSPring-8の放射光を利用することによって、X線回折及びXAFS測定が行われた。不規則岩塩構造相では、Agイオンが6配位席及び4配位席の両方を占有する。4配位席の占有率は、2GPa付近で最大の20%程度となる。岩塩構造から不規則岩塩構造への変化は、X線回折で観測される平均構造でははっきりしないが、XAFSで観測される局所構造でははっきりと現れた。EXAFSデバイワーラー因子からは原子間の有効二体ポテンシャルを高温高圧下でも求めることができる。圧力は有効ポテンシャルに大きな影響を及ぼし、非調和性が圧力とともに減少することが明らかになった。
深澤 裕
日本結晶学会誌, 51(1), p.84 - 85, 2009/02
氷の中性子回折の実験を行い、水素の配置に着目した詳細な構造解析を行った。その結果に基づいて、低温高圧下で生じるさまざまな氷の状態について考察し、冥王星等で実現する160K以下で真空から数万気圧の圧力で生じる氷の相転移、特に氷天体の内部構造等特に冥王星の表面から内部に存在する強誘電体の氷の分布について解説した。